皆さまこんにちは。見習いレンジャーのタイチです。

初めにウトナイの状況ですが、水鳥のピークは過ぎた感じがします。特にハクチョウ類は急に減った印象で、やや北部の舞鶴遊水地に水鳥が多く入りはじめているという情報も入ってきているので、少しずつ北上して行っているのでしょう。ロシア、ツンドラ地帯を目指す鳥が多いので、つかの間の休息、たくさん食べてたくさん寝て、英気を養って長旅に備えてもらいたいものです。

そんなあわただしい根無し草な鳥たちとは無縁なのはこちらのお方。
コブハクチョウの画像

そう、美しいコブハクチョウです。
ウトナイ湖常連の方はもうご存知でしょうが、このハクチョウは本来ここにはいないはずの鳥なのです。約40年前、道南の大沼国定公園につがいが観賞用として持ち込まれ、その子達のうちの数羽がウトナイ湖に渡り定着したと言われております。ウトナイ湖では一年中見ることができ、繁殖もしているようです。この画像は数日前、船着き場付近をスーッと泳いでいるところを偶然見かけ撮影しました。

自然分布はヨーロッパ西部、中央アジアということで「外来種」ということになります。まだ在来種に対する明らかな脅威とはなっていないようですが、オオヒシクイやアカエリカイツブリの生態に影響するかも、という研究もあります。

人間によって持ち込まれ、そのうえ邪魔者扱いされたのではかわいそうすぎます。このままひっそりと穏やかに暮らしてほしいな、と思いますが、それもまた人間の都合なのか...一度人間の手が入ってしまうと単純な話では済まなくなってしまう例は枚挙に暇がありません。普段の生活の中でも知らず知らずのうちに環境に変化を与えざるを得ないのが現代人の生活なのでしょうが、可能な限り身の回りの多くの事に気付ける人間になりたいな、と思いました。

と、今日は一羽のコブハクチョウから真剣に学びましたが、おそらく本人は「あぁー水草超うめぇー」くらいにしか思っていないのでしょう。