皆さまこんにちは、見習いレンジャーのタイチです。

他所の記事を書くためにいろいろ調べものをしていて、面白いことがあったのでちょっと書いてみます。

Bird watching バードウォッチングという言葉はいつ頃から一般的になったのか。

昭和9年(1934年、今から87年前)に発行された、日本野鳥の会の会報「野鳥」に、秦發雄氏「新聞紙上に見る小鳥記事について」という記事があります。秦氏が野鳥に関する新聞記事をスクラップしその見出しを羅列したものなのですが、その中に以下のようなものがありました。


バードウォッチング 

「籠の鳥」より「林の鳥」 

自然のままの小鳥を楽しむ趣味をかねた新スポーツ


おそらく昭和9年かそれ以前に、新聞紙上に掲載された記事のようです。趣味をかねた新スポーツ、という言葉が興味深い。「バードウォッチング」は当時、一部の関係者や知識人だけが使っていた言葉なのでしょう。今で言うと何になるのか。趣味をかねた新スポーツで外国から入ってきたものでまだ一般には周知されていないもの...思い浮かびませんが、でもこの短い見出し言葉でも当時の野鳥に対する考え方がよくわかって貴重な資料だと思います。

野鳥の会の創始者、中西悟堂も自邸内で幾種もの野鳥を放し飼いにしていたようですし、メジロ、ウグイスなどの野鳥を捕まえて籠に入れて飼育し、その姿や鳴き声の美しさを競わせるのが当時は一般的だったようです。常識が変わり始めた時点...今では野鳥を捕獲し飼育することは、いかなる種であっても鳥獣保護法で禁止されていますし、野鳥の観察=屋外(自然を背景に)での活動、というのが当たり前になっています。

おそらく当時の読者は、まだ双眼鏡も未発達の時代でしたし、あまり共感はしなかったでしょうね。「何を言っているんだ、じっくり観察するには捕まえて籠に入れたほうがいいじゃないか!」といった声が聞こえてくるようです。令和の現在でも何か新しい考え方を紹介しようとすると、現状の「当たり前」を根拠に同じような反応が返ってきがちです。そういうときは自分の立ち位置を意識して変えてみて、もう一度普段自分がしている当たり前のことを考え直すように、私はしています。野鳥を愛する皆さまもそうだと思います。
オオハクチョウ

画像がないので一枚だけ。先ほど湖上を低空飛行していたオオハクチョウ。よくとおる綺麗な声で鳴いていました。オオハクチョウは雪の背景がよく似合います。

(中村T)