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皆さまこんにちは、見習いレンジャーのタイチです。

今日は晴れで穏やかです。ということで先日の記事とは打って変わって気分も良いです。

天候に気分を左右されるようじゃ、大人としてどうかと思うので、なるべく一定に保つようにしてはいますが、うーん、外因に左右されるのも自然の一部としての人間なのでしょうかね。でも当センターにも天候に左右されずにいつも同じテンションのレンジャーがいるので、見習いたいと思っています。

さて今日は弁天沼周辺について書いてみようと思います。
弁天沼はウトナイ湖南東に位置する浅い沼です。
調査に同行する機会が多く周辺の地理にもだいぶ明るくなってきました。
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印象は日によって変わります。

ですが一概に言えることはいつでも風が強く肌寒い、薄曇りのまさに「原野」というものです。宮崎駿監督作品にも原野や草原が多く描かれていますが、背景の工場群を含めるとまさにそんな世界。私は薄曇りが勇払原野にはふさわしいと思います。

この弁天沼周辺は戦後に入植された方が多いと聞きます。開墾し生活の場となっていましたが、苫小牧東部開発計画によって立ち退きを余儀なくされ、せっかく切り開いた土地は一度工場用地となります。しかし景気の後退により誘致が思うように進まず、そのまま荒廃し草原に戻りつつある、といった経緯があります。なんとも数奇な運命をたどって現在の環境が保たれているというわけです。世界的に見てもとても珍しい環境ではないでしょうか。

戦後に入植された方々のご苦労はいかばかりかと、思わずにはいられません。
そして、湿った大地を足の裏で感じるたびに開高健の「ロビンソンの末裔」という小説を思い出します。フィクションではありますが終戦直後の混乱期に北海道へ渡った方たちの苦難を描いた作品です。時に、羅列された事実よりも小説のほうが多くを想起させる、という良い例でしょうか。

株式会社苫東の所有地のため立ち入りが制限されているエリアもありますが、付近の国道を車(本当は自転車がおすすめ)で走るだけでも「その開拓と変遷」の残り香を感じることができますよ。

家でゲームばかりやってないで、休日は外に出なさい! 
と自分への叱咤で締めたいと思います。

(中村T)

皆さまこんにちは。見習いレンジャーのタイチです。

さて、連日ブログでもお伝えしておりますが、夏鳥の飛来や植物の開花・芽吹きでとてもにぎやかなウトナイ湖です。

そんな中、ウトナイではちょっと珍しい鳥に先日出会いました。それはこの鳥...
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そう、オレンジ色のおしゃれセーターでおなじみ! ヤマガラさんです。

どれくらい珍しいのかというと、2019年度にレンジャーが情報収集をした総日数が246日、その中でヤマガラが観察されたのはわずか4日間、確率で言うと1.62%となります。一般的に低山エリアの留鳥とされているのでウトナイでは珍しくて当たり前なのですが、公園などでも見られる身近な野鳥の一つが、ところ変われば「珍しい鳥」となってしまうところが注目ポイントです。逆に近所の公園にオオワシが出現したら大騒ぎですもんね...冬季のウトナイでは毎日のように見られる鳥なのに。

皆さんご存じのように、野鳥にはそれぞれに好む環境があります。森、雑木林、民家付近、草原、湿地、河原、海辺など、多様な環境に多様な種が暮らしています。決して自然のまま、ほったらかしが良いというわけでもなく、昔の里山のような人の手が入った環境を好む種もいます。都市化や暮らしの均一化が進みそれらが失われつつある現在、いかに環境の多様性をキープしていくのかが課題の一つと言われております。

こんなまじめな話をする予定ではなかったのだが...ヤマガラさん、気づかせてくれてありがとう。
ちなみに私が"さん"付けで呼ぶのはヤマガラさんだけです。その理由はまた後日に。

(中村T)

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